高野さんがはじめて外国人と二人で
長い時間を過ごしたのは高校生のときだった。
近所の家にホームスティしていたアメリカ人のかわいい女の子。
その子の東京案内を引き受けた時のことだ。
そこで彼は奇妙な体験をする。



何もいいことがなかった一日だったが、
ひとつだけ、私に忘れられない印象が残った。


そのアメリカ娘と一緒にいると、
見慣れた東京の街が外国のように見えるのだ。
漢字と仮名とアルファベットがごっちゃになった
猥雑(わいざつ)な看板郡。
くもの巣のように空を覆う電線。
機械のような正確さと素早さで切符を切る駅員・・・。


これまで毎日のようにめにしていたもの、
だけど何とも思わなかったものが、
ことごとく違和感と新鮮味を伴って、強烈に迫ってくるのだ。
「これはいったいなんなんだ?」私は思った。 
 
                            〜本文より〜



・・・・・
私もまた、高野さんと同じく外国の人と一緒にいるときに
「日本を客観的に」みる感覚に陥ったことがある。
おそらく、多くの人がよく似た経験をしているのではないだろうか。
彼らの気持ちに同調して、
日本の何かに感動したり驚いたり・・・
また何かに疑問をもったり怒ったり・・・


私のオススメ本異国トーキョー漂流記
高野さんが外国人の友達と一緒に見た不思議なガイコク「トーキョー」
を舞台に、8つのエピソードを紹介している。
これが実に笑えて、ちょっとほろりときて、そしてウンウンうなずける。


次回からさっそく、特にお気に入りの
「日本をインド化するフランス人」
をお届けしたいと思います。


・・・
少し話は変わりますが
これに似た気持ち・・・そういえば
学校を休んで大学病院に行ったときに感じました。
   ・たとえば病院には売店があって入院患者がお菓子を買っている。
   ・あるいは食堂で職員がごはんを食べている。
ここにはここの時間が流れていて・・・
でもクラスのみんなは、
いつもと同じように学校で勉強している平日の午後。


自分ひとりだけ違う世界に紛れ込んだ変な気分。
土日や放課後の時間に病院へ行くのとは違う。
平日の昼間、学校を休んで行くと格別にあそこは「別ワールド」でありました。