スペイン人は「恋愛の自然消滅」を救えるか!?


高野さんは22歳のときに初めて彼女ができた。
彼女の名前はナナ、ひとつ年上のOLで美人。
おまけにスタイルも気立てもいい女性だった。


そんな女性が、どうして自分なんかとつきあっているんだろう。



若い女の子によくあるように、
世間の常識からはずれている男が新鮮に見えたのかもしれない。


彼女はお嬢様育ちなので、ワタシからすると視野が狭い。
価値観も固定されている。
彼女が好きなものは、ほぼすべて「今みんなが好きなもの」だった。
ディズニーのキャラクターとか、最新のヘアスタイルとか、
ハリウッドの”超話題作”とか。


それが唯一最大の難点で、ワタシは会うたびに
「君の考えは今の狭い日本社会でしか通用しない」と
口をすっぱくして説明した。
説明しただけではない。行動も伴った。



・・・高野さんはナナに
ファッション雑誌の講読をやめさせたり
アフリカの呪いの人形をプレゼントしたり
したのだった。・・・



全ては彼女の視野を広げ、
「素敵な国際人」になってほしいという気持ちからである。



最初の頃は素直に高野さんの話を聞いていた彼女だったが
付き合い始めて半年ほどしたある日
高野さんがコンゴ旅行から帰ってきたころから
彼女が急によそよそしくなってしまった。


大喧嘩をするだとか、他に好きな人ができただとか
そういう決定的な理由はないのだけれど
ただ、じんわ〜りと二人の間が冷めていっているように
感じられるのだった。


「もしやこれが恋愛の自然消滅ってやつ・・・」
高野さんの頭に不吉な言葉が浮かんだ。


〜[高野シリーズ]7 へ続く〜